以前の投稿で創業者は行動そのものが理念だというお話をしました。
あくまで別人格である2代目の仕事として、「いかに創業者を輝かせるか」という視点での工夫が必要だと思います。一般的には先代が先に引退するのですから。
創業者のキャリアを如何に組み立てて、永続的なシンボル的な存在にしてゆくか。
つまり2代目はそのストーリーを組み立てるプロデューサー的視点が必要。
事業を承継して、如何に組織を大きくしてゆくかに主眼がゆきがちな2代目経営者ですが、そのことは重要であるものの、もっとも重要な仕事は「先代である創業者のキャリアを綺麗に終わらせてあげること」だと思っています。
そして、そのことを別の側面から言うと、「創業者がいかに安心して引退させてあげるか」ということです。
創業者のキャリアストーリーを作る
人生100年時代ですから、先代は起業家としての生命力を発揮してきっと長生きします笑。でも先代のキャリアを組み立ててゆく上で必要なのはストーリーです。つまり、「経緯」そのものを作ってゆくのです。だから時間がかかります。ということは、先代が元気なうちから考えてゆかねばならないのです。
そのストーリーを組み立てる上で、先代がこの仕事を立ち上げた際のきっかけがヒントになります。つまり「創業の理念」や「建学の精神」ってやつです。キャリアの中で紆余曲折があったものの、一番綺麗なストーリーはその創業の理念に立ち戻って、創業者としてある程度は仕事を成し遂げたことを本人も周りも実感できることですよね。
目標を受け継いではいけない
でも、ゼロから起業をした人が持っている理想像に現実がたどり着いているはずがありません。
ではどうするか? それは2代目が「新しい創業の理念」を見つけることです。つまり、時代の変化によって変容してゆく組織を作り出すための道標として次なる目標を設定するのです。それは「先代のやり方を変える/変えない」といった小手先のハウツーではなく、その組織がたどり着くべき頂上をどの山にするかを考え直すということです。
そのような2代目が目指し始めた新しい目標を見て、やっと創業者である先代は安心ができるのではないか?と思うのです。これまでの時代性の中で頑張ってきたことを「成し遂げた」と思えるのです。目標をバトンとして受け継ぐのではなく、次なる目標に向かう組織の強さをつくることが2代目の実力だと思うのです。
そして先代が感じた変化を敏感に察知しながら、次なる目標に向かう背中を先代に見せてあげましょう。私もそのプロデュースの半ばです。