理念と経営の中心に据えて、そして共感をベースに組織作りをしてゆく過程において、「伝える」ことにこだわればこだわるほど、クリエーター(デザイナー、コピーライター、建築家など)とのお付き合いが増えます。
その際に私が心がけていることを書きます。
自分の作品を残したいクリエーター心理も理解した上で
経営者は自分の会社(法人)を作品にしよう。
クリエイティブへの尊敬を大前提にして、プロである彼らの作り出すものの凄さを心の底からリスペクトしているからこそ言うのですが、クリエイターは手強いです笑。
そして単にアートを表現しているということではなく、商業的に、つまりFeeをもらいながらクライアントの経営課題をクリエイティブのチカラで解決することを生業にしているクリエーターの中でも、自分が創ったものを「自分の作品」と言わない人はごくごく稀です。
それは著作権とか版権の帰属というお話とは別の、感覚としての「自分のもの」という意識が多くの彼らの中にあります。
そりゃそうですよね、自分が考え抜いてベストだと思うソリューションがそのクリエイティブに込められているわけですから。
クライアントの発注なしにはスタートしない
でも、そもそもの出発点はクリエーターの何かを生み出したいという欲ではなく、クライアントの課題や問題をどうしたら解決できるかというところなんですよね。
そこを勘違いするクリエーターが多い。
つまりクライアントの会社やブランドを使って自分のキャリア構築を優先してしまう心理があるということです。
でもここであえて戻ると、そのような欲こそがクリエイティブのレベルを上げる原動力だからこそ、私は全否定はできません。
なので、私たちクライアント側がしっかりその欲を認識しつつ、うまく使うことが求められるのです。
クリエーターをうまく「使う」ためのコツ
①丸投げはダメ
デザイナーに完全お任せみたいなスタンスの経営者がいますが、それはダメです。クリエイティブを取り入れる際の全てのプロセスに経営者は立ち合い意見交換すべきです。そしてこの取り組みを通して経営者自身が成長しようという欲を持つことです。
②デザインワークに入る前の課題共有になによりも時間を割く
いきなりロゴマークの製作やWEBデザインの話から入ってしまうのではなく、それは最終工程のほんの一部の仕事であるという位置付けを間違わずに、最初はただひたすらに思いをぶつけ、クリエーターからも意見を聞き出しましょう。それによって相性が良いのか悪いのかもわかってきます。
③経営者自身が、デザインを経営の真ん中に置く
デザインというものは単に見た目を綺麗にすることではありません。つまり、デザインは組織の中身も外見もすべて一気通貫で思想で串刺しにして整理して、今後の方向性を共有してゆくことです。これは経営そのものですよね。すると、「経営にデザインを取り入れる」という感覚ではだめで、経営=デザインという感覚をもつことです。
④合わなければすぐにやめる
前述の相性の問題もあり、良いものが生み出せないことがあります。その際はしっかりFeeをお支払いしつつ関係を解消し、次なる相手を探しましょう。こればっかりは能力や意識で解決できる問題はないので。
⑤作品を創っているのは経営者自身です
経営者はクリエーターのプロフェッショナルな仕事を活用させてもらいながら、自分の会社やブランドという作品を作っているのです。これがクリエーターに使われることなく、使うコツです。
最後はWin-Winで
でも、クリエーターへの敬意を忘れずに。
彼らはやっぱりすごいです。私は彼らに育ててもらっています。だから感謝なのです。